FC2ブログ

第82回日本整形外科学会学術総会報告

RIMG0021.jpg
こんにちは。島のスポーツドクターです。
今回、私は5月14日~17日までの4日間、福岡で開催された、
日本整形外科学会学術集会に15日~17日まで参加したので、ご報告させていただきます。

この学会の規模は非常に大きく、日本中の整形外科医が集まり、
有名な先生の講演や、自分の研究発表などの場となります。
私は、島唯一の整形外科医として、あらゆる分野に精通する必要があり、
下記のように分野に偏りの無いように、学術講演やシンポジウムなどに参加しました。

参加内容
1、教育研修講演 「Achieving three-dimensional correction in adolescent idiopathic scoliosis」
2、教育研修講演 「野球肘の診断と治療」
3、教育研修講演 「肘骨軟骨障害の鏡視下手術-外側及び後方障害の処置について-」
4、シンポジウム 「子供のスポーツ障害の予防」
・腰部・骨盤部の傷害(外傷・障害)
・肩肘の成長期のスポーツ障害:野球選手の検診結果からの提言
・膝の障害
・子どもの足・足関節におけるスポーツ障害の予防
5、パネルディスカッション 「軟部組織欠損に対する治療戦略」
・湿潤治療:保存療法に限界はあるのか
・皮膚・軟部組織欠損に対する人工真皮の利用
・下腿重度開放骨折に対する皮弁形成術
・機能を目指した軟部組織再建
・皮弁付き骨移植による骨軟部組織同時再建
6、シンポジウム 「骨盤外傷治療の最前線」
・骨盤骨折における急性期治療
・骨盤骨折の再診治療
・寛骨臼骨折の観血的治療
・骨盤骨折に対する低侵襲固定法最前線-経皮的固定法の手技とpitfall-
・仙腸関節部損傷に対する前方プレート固定
7、教育研修講演 「手指骨折の治療」
8、教育研修講演 「橈骨遠位骨折-機能障害と手術適応」
9、教育研修講演 「診療ガイドラインからみたアキレス腱断裂の診断・治療」
10、教育研修講演 「足関節捻挫の病態と治療」
11、教育研修講演 「手指腱断裂の治療方針」
12、シンポジウム 「膝靭帯損傷治療の最前線」
・自家半腱様筋腱によるACL再建術
・コンピューターナビゲーションを用いた膝前十字靭帯再建術
・膝後十字靭帯、後外側支持機構複合損傷に対する靭帯再建術
・多重折りハムストリング腱を用いたMCL再建術

といった、かなり多くの講演や発表を聞いてきました。頭がパンクしそうです。
中でも印象深かったのは、4のシンポジウム「子どものスポーツ障害の予防」です。
結局、結論として子どもたちのスポーツ障害を防ぐには、Overuseを防ぐ必要があり、
どうやってこれを防ぐのかは、ここ20年の最大のテーマだそうで、20年前と予防は
変わりがないとのこと。理由は、子どもが自主的に休養などを取るのは難しく、
スポーツ指導者や、家族の理解が深くなければこれは実現不可能で、
「勝利のための実力アップ」と「障害予防の休養」は相反するのものだからというように
考えられているからです。その地域で、この誤解を解くのが非常に困難であるとのこと・・・
ここ久米島は、昨年1年かけて、少年スポーツの指導者と私はだいぶ良い関係を築いているという
手応えを感じているので、皆さんとよく理解し合い、
少年スポーツ障害に対する予防の進んだ地域にしようと思っています。

最後に留守中を守っていただいた病院スタッフの皆様、
また5月17日外来を休診に、ご協力していただいた
島民の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

                                         by島のスポーツドクター
スポンサーサイト



新型インフルエンザ対策

こんにちは。島の小児科医です。

新型インフルエンザが国外で流行しています。メディアでは新型インフルエンザに関する情報を連日報道しています。

久米島病院スタッフは、役場や学校関係者と協力体制を築きつつ対策を行っています。WHOが警戒レベルをフェーズ4から5に引き上げたあたりから俄かに忙しくなり、自分自身は先週の後半から訳がわからないままあっという間に過ぎてしまった感があります。(←もっと頑張ります)

ひとまず、久米島病院の取り組みを紹介。

【平日・玄関前】
P1040361.jpg P1040355.jpg P1040350.jpg
玄関前に設置したカウンターで、患者さんの来院理由をお尋ねします。来院理由が発熱で、しかも最近、新型インフルエンザの流行している国や地域への海外渡航歴のある患者さんは、カウンターの後ろに見えるテントで待機していただくようにしました。

もしも該当される患者さんが来院された場合、詳しい病歴の問診と身体診察を行い、同時並行で保健所への連絡や、簡易キットでインフルエンザの検査、A型の陽性反応が出た場合は保健所からの指示を仰ぐという流れになります。幸いなことに、現在までに該当される患者さんはいらっしゃいませんでした。


【休日・時間外】
時間外に救急受診される方は、これまでは守衛室の横にあった時間外出入り口から入ってきて受付で係を呼び出し、受診の手続きを行っておりました。しかしこれでは、もし新型インフルエンザに感染した疑いのある患者さんが来院されたとき、施設内に入ってきて入院患者さん、ご家族、職員などに接触してしまう恐れがありました。
P5031403.jpg P5031401.jpg P5031406.jpg
そこで、出入り口を正面玄関横にある鍵のかかる出入り口に変更。インターホンも設置し、発熱で来院される患者さんは院内に入る前にインターホンで中の職員に発熱している旨を告げ、連絡を受けた看護師が外に出て海外渡航歴などの問診を行うことになりました。

これまでほぼ出入り自由だったので、島民の方々には大変不便になったと思われることでしょう。ただし感染対策上やむを得ないので、どうかご理解、ご協力いただきたいと思います。


【病棟対策】
仮に新型インフルエンザ疑いの患者さんが久米島で発生した場合、原則的には沖縄本島の県立病院へ転送となります。ただ、さまざまな事情により久米島病院に入院して治療を行う必要性が出てこないとは限りません。

病棟に入院される場合、本来なら病室内の気圧を下げてウイルスが部屋の外に漏れないような設備が必要ですが、久米島病院にはそれがありません。ただしインフルエンザウイルスは原則的に飛沫感染であるということを考えれば、飛沫をシャットアウトできる工夫を行い、スタッフの確実な手洗い、ガウン、マスク着用など(スタンダードプレコーション/標準予防策と呼ばれます)でかなり院内感染を防ぐことができます。

沖縄県立中部病院感染症科の遠藤先生に今年2月、新型インフルエンザ対策の講演をしていただきました。その中で紹介された2重のビニールカーテンでの防御策を久米島病院でも行うことにしました。 P1040367.jpg


このカーテンよりも奥の部屋は、新型インフルエンザ患者さん用の隔離病棟として扱われます。患者さんの出入りは、外の非常階段を使って直接奥の部屋に入れます。手前側の一般患者さんと接触することはありません。このカーテンが必要になる日が来ないことを願うばかりです。



【来るべき日に備えて、、、】
沖縄那覇空港には、台湾や香港への国際線直行便が就航しています。また米軍基地には軍人や家族が日本の検疫を受けることなく人の出入りがあります。こういったところから新型インフルエンザが入ってきて、日本国内の第1例が沖縄で見つかる可能性は十分に考えられるのです。
遺伝子的には弱毒性ということですが、まだまだ今回流行し始めた新型インフルエンザの全貌は明らかになっておらず、油断はできません。対岸の火事ではなく、島内に感染者が既にいるかもしれない、というくらいの危機感を持って今後も対策を行っていきます。

みなさん、どうかご協力をよろしくおねがいします。